[***] 陸曹教育隊・陸曹候補生(普通科小銃手装備)
〜昭和63年・旧装備編〜

昭和63年、某方面隊の陸曹教育隊(通称「陸教」)で陸曹候補生課程の教育を受ける陸士長(仮定)。各部隊から選抜され、戦技やその他、初級陸曹に必要な技能の訓練が行われる。

 

戦闘訓練で戦闘装備を身につけた状態の候補生。

当時の普通科部隊小銃手と同じ装備です。

当時の迷彩服を着用し、頭には66式鉄帽…あご紐は私物ワンタッチタイプ、靴は半長靴。装具類は、綿弾帯にビニロン製のものが取り付けられています。更に鉄帽や上半身には偽装網が。
銃は64式7.62mm小銃。

正面及び背面

腰の綿弾帯に、弾入れなどの各種装具が取り付けられています。左胸の大きな袋は防護マスク4形の携行袋。
首の肌が隠れるよう、迷彩服の襟は立てられ、ボタンで留められています。

背面には腰の弾帯(ピストルベルト)に弾入れと水筒が取り付けられ、背中には2つ折の携帯シャベルを背負っています。

 

左右側面

米軍のM1ヘルメットに比べ、ややつばの長い66式鉄帽。手袋は官給品OD軍手。

 


 

正面の装具取り付け状況

第二次大戦〜ベトナム戦争で使われた米軍の弾帯と同じタイプのバックルを持つ綿弾帯に装具が取り付けられています。吊りバンドも綿製で、背面でX型にクロスするタイプのもの。上半身には身体用偽装網が身に付けられています。偽装網は四角い風呂敷状のもので、四隅を持って上側を肩章に通し、タスキがけ状に結んで装着します。弾入れは前面のものと背面のもの、あわせて6本(120発)の容量になります。

弾帯には向かって右から、
    「弾入れ(1本用)」
    「弾入れ(1本用)」+「救急品袋」
    「銃剣」
が取りつけられています。

救急品袋は右半身前面の弾入れ(1本用)の下にあるハト目に取り付けます。写真では不用意にフタが開いてしまうことを防止するために、ビニールテープが巻かれています。なお、この場所には手榴弾入れなどが取り付けられることもあります。

背面の装具取り付け状況

弾帯上、向かって左から
    「弾入れ(2本用)」
    「水筒」
    「弾入れ(2本用)」

背中には2つ折の携帯シャベル(通称「小エンピ」)が、切断した自動車用タイヤチューブと金属リング、ナス環などを使用して作られた背負い紐(通称「カンタロウ」)で、背負われています(この背負い紐は個人用天幕の紐など、様々なもので作ることができます)。身体用偽装網の様子がよくわかります。水筒覆いは「みみ」をスナップで留めるタイプ。

左右側面の装具取り付け状況

左側面の状況(写真左)
左脇に防護マスク、背中に携帯シャベル。体の左側面を下にして匍匐することが多いので、地面とこすれる部分にはなるべく装具を取り付けないようにします。
向かって左から、弾帯上には
    「弾入れ (1本用)」
    「弾入れ (2本用)」
    「水筒」

右側面の状況(写真右)
弾帯上、向かって右から
    「弾入れ (1本用)」
    「銃剣」
    「弾入れ (2本用)」
    「水筒」

弾帯を「弾帯止め」(写真左、弾入れと水筒の間に見えるもの)でズボンのベルトにクリップしています。
64式7.62mm小銃用の、長い銃剣が印象的。

 

 

 

64式小銃用銃剣の取り付け方法

銃剣は本来体の左側に装着しますが、戦闘訓練時などは右側に装着されるのが一般的で、鞘に抜け止めのラッチがあるものの、不意に抜けてしまわないよう写真のような脱落防止の紐「銃剣止め」を使用します。弾帯への取り付けは、通常、左側写真のように弾帯の下側のハト目に行いますが、長さやバタつきが気になるなどの理由から、右側写真のように上側のハト目に取り付け、鞘のベルトを弾帯で押さえるようにして装着するケースが多く見受けられます。

ワンポイントアドバイス(1)〜偽装材の取り付け

当時は偽装材の取り付けが盛んに行われていました。鉄帽はもとより、身体用偽装網を使用し、体にも取り付けます。
偽装にあたっては
・鉄帽から肩のラインが目立たないようにする
・植生にあわせ、また葉の裏側を見せないようにする
・体の前面は行動を阻害しないようにする  etc
など、注意点がいくつかあります。

側方から見た偽装材取り付け状態

 

ワンポイントアドバイス(2)〜余ったウエストの処理

余ったウエストは、上衣、ズボンとも体の側面にまとめるようにします。特にズボンは、左右体側後方よりのベルト通しの部分にまとめます。

 


防護マスク3形

防護マスク4形になる前のタイプ。当時の米軍とほぼ同じ形状のものでしたが、面体自体が射撃の妨げるということで、配備されていた期間は極めて短い。

携行袋はほぼ4形と同じような形状ですが、若干小さく、またやや丸みを帯びています。

64式小銃用銃剣

現用の小銃としては非常に長い銃剣。採用当時、旧軍出身「長槍派」と「銃剣不要派」との間で議論になり、M1騎銃(カービン)用銃剣と旧軍銃剣の中間の長さになった…などの逸話も残されています。

今回の撮影にあたっては、「すてんがん工廠」が制作したプラスチック製複製品を使用しました。銃剣本体・鞘とも、非常によく再現されています。

詳しくは
http://www.asahi-net.or.jp/~dj7h-nw/
をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

物陰から前進方向を確認し、匍匐にて前進しようとする候補生。戦技の基本があらためて徹底的に教育される。

 

 

 

 

 

model: NEGIMA

Special thanks : すてんがん工廠 JA-SEN

 

最終更新:2004.2.26

 

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※このページの情報はマスコミ等において公表されたもの、一般に公開状態となったものをまとめたものです。防衛上の機密に関する情報は一切扱っていません。

※64式小銃はホビーフィックス製、銃剣はプラスチック製複製品を使用しています。なお銃剣の装着は、サバイバルゲームにおいては危険ですので止めましょう。

※その他使用した装具等は全て一般のミリタリーショップ等で購入したものです。防護マスク3形・4形携行袋の中身は、残念ながら入っていませんm(_ _)m

※階級章・徽章・ネーム等は一部画像処理を施してあります。